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もめんいぜんのこと

木綿以前の事

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《木綿以前の事(もめんいぜんのこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 177,586 字 · 348 頁

青空文庫

酒の飲みようの変遷

一

煙草の供給が是と同じ名を用いていたとすれば、種類はちがうがやはり是からくる恍惚の感覚を、二人で分かとうとする目的があったので、神に神酒を捧げてそのおろしを戴こうとする心持と、煙草のお初穂を地蔵様に供えようとする趣旨とには、偶然ならぬ共通があったのではあるまいか。遠い離島の神を祭る女たちが、かつて王廷から頂戴した数十枚の煙草の葉を、どうして消費したかには、云い知れぬ興味があるが、それを今から尋ねることは容易でない。しかし日本人のきれぎれの生活ぶりから、注意して古い体験の痕を集めて見ることまではできるかと思う。言葉にはそれを言い現わすものが伝わらないでも、強い感覚ならば何かの形で、顕われずにはいないはずである。そうして問題はなお一歩を進めて、香と信仰との年久しい習慣にも結びつけられそうに私は思う。

酒の飲みようの変遷

一

酒を飲む風習は日本固有、すなわちいつの頃とも知れぬほどの昔から、続いているものに相違ないが、その風習の内容に至っては、昔と今との間に大きな変遷がある。これだけは是非とも日本人として、はっきりと知っていなければならぬ。この古今の移り替りを一通り承知した上でないと、各人はまだ自由に、酒を飲んでよろしいか悪いかを、判断することができないのである。