輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 頁
伊達屋敷焼亡
「おいで、夜露にあたると悪い、いって寝るとしよう」
宇乃は黙って、甲斐のあとからゆっくりと、こおろぎの鳴きしきる芝生の上を、ゆっくりと歩いていった。
伊達屋敷焼亡
黒田玄四郎は帳簿を片づけてから、筆と硯を洗うために立ちあがった。廊下を隔てたところに水屋がある。そこは勘定部屋の専用で、大きな水瓶が二つあり、三尺に六尺の立流しがあって、飲み水の補給は云うまでもなく、勘定方の者が洗面したり、汗を拭いたりするための半なども備えられ、その世話をする水番の小者が二人いた。
玄四郎が筆や硯を洗っていると、太田弥兵衛が来て、声をかけた。弥兵衛は同じ勘定方に勤めているが、支配付という役目は名ばかりのものらしく、殆んど仕事はしなかった。身分は番頭格で、年は二十六になる。勘定部屋で仕事らしい仕事はしないが、剣術は酒井家中でもぬきんでて強く、柳生の道場でも上位の腕らしい。――彼は早くから玄四郎に好意をもっていて、暇があると話しかけ、しばしば伴れだして食事を奢ってくれる。剣術も強いようだが酒もよく飲むし、酔うと話しが諄いので、玄四郎はなるべく断わるようにしているが、なにしろ新参ではあり下役なので、三度に一度くらいはつきあわなければならなかった。