輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 頁
――これが別れだ。
――笑うかもしれないが。
と周防が云った。
――おれがいまいちばん心配しているのは、うまく死ねればいいが、ということだ。
――自然のままがいい。
と甲斐が云った。
――うまく死のうとまずく死のうと、死ぬことに変りはないのさ。
周防は微笑し、じっと甲斐の眼をみつめながら、頷いた。
――ではこれで。
――では、……
それが、二人の会った、最後になった。
周防の死んだのは、正月十一日の朝で、前夜半から二度茂庭の家従から甲斐のもとへ、「危篤」の知らせがあり、甲斐は堀内惣左衛門を代理にやった。惣左衛門は夜明けまで、茂庭家に詰めていたが、臨終が近いといって、七時ころ、甲斐を迎えに来た。
ひと眼だけ、顔を見たい、と仰しゃっています。
どうかすぐいってあげるように、と惣左衛門が云った。甲斐は、いや、と首を振った。周防がそんなことを云う筈はない、別れはもう済んでいる。もしそんなことを云ったとすれば、病毒に頭をおかされたためで、周防の本心ではなくうわ言にすぎない、と甲斐は云った。
――それではあまりです。
と惣左衛門は堪りかねたように、膝を進めて云った。