輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 頁
おくみはそう書いたあとで、こんなことを書くのは恥ずかしいがと断わって、次のように続けていた。
――一昨夜うれしい夢を見た。夜なかに表てを叩く音がするのに、誰も出るようすがない。しかたがないので自分で起きてゆき、雨戸をあけてみるとあなたが立っていた。あなたは衣冠束帯で手に笏を持ち、からだぜんたいから金色の光を放っていた。あたしはあまりの尊さにはっと頭をさげたところ、自分がまる裸でいる事に気がついた。そのうえおかしなことに、からだの前とうしろの恥ずかしいところがいっしょになって眼に見える。あたしは両手でけんめいにそれを隠しながら、走って寝間へ駆けこんだ。すると、表てにいる筈のあなたが、いつのまにかもう寝間に来ていて、白い寝衣になり、髪を解いている、あたしはおかしいなと思った。殿がたでも寝るときは髪を解くものかしら、そんなことを思っていると、あなたが振返って、こちらへおいでと、両手を静かにさしのべた。
それからあとのことは書けないけれども、眼がさめてからも、あなたのおからだの温かい肌ざわりや、やさしくあやされたお手の感じがありありと残っていて、召使たちに顔を見られるのも恥ずかしいくらいであった。