輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 頁
「それは船岡どのの意見にすぎない」
「いや、涌谷さまと故松山と、三人合議のうえのことです」甲斐は忍耐づよく答えた、「当時は米谷どのも志摩どのも、まだ国老職にはついておられず、他の老臣は対立不和の状態で、次つぎと起こる紛争をしずめるだけでも、なみたいていなことではございませんでした、もちろん」と云って、甲斐は穏やかに頷いた、「もちろんよきおりがあったら、米谷どのにも志摩どのにもうちあけ、御助力を願うつもりでいたのですが、思わぬとき、にわかにかようなことになりましたため、お話しをする機会がなかったのです」
「理由はいくらでもあるだろうが」と外記は不満を抑えた声で云った、「かかる大事を国老ぜんたいに計らなかったという責任だけは忘れないでいてもらいたい」
甲斐は静かに会釈した。
そのとき勘定部屋では、――黒田玄四郎が自分の席を立って、そっと廊下へ出ていった。誰も玄四郎に注意する者はなかった。気がついたとしてもおそらく、手洗いにゆくぐらいにしか思わなかったであろう。廊下へ出た彼は、水屋へ近づいてゆき、そこにいる番の者に「水を一杯」と云った。番の者が棚から湯呑を取り、水を汲もうとしていると、廊下の向うから太田弥兵衛の来るのが見え、玄四郎はそっちへいった。