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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 頁
「――七十郎が死罪」と甲斐はまた呟いた。
ようやく、甲斐は文箱をあけ、書状を取り出して読んだ。
罪科の決定は四月二十八日。
采女については、二人を捕えた家従たちの忠志に免じて、伊達式部へ預けとなり、七十郎は死罪。また七十郎の父、伊東宗休は切腹。母は死罪、兄の善右衛門は切腹。善右衛門の子三人は流罪、孫二人は仙台から十里外に放逐。家財は闕所ということであった。
「――無残なことを」と甲斐は呻いた。
甲斐の、仮面のようだった顔が、額のほうから蒼ざめてゆき、こめかみがぴくぴくとひきつった。
「――そんな必要があったのか」
これでは一族みなごろしではないか。主君に対する叛逆ならともかく、一ノ関は伊達家から出て、名目は直参大名である。しかも暗殺は計画されただけで、実行できたかどうかも疑わしいし、その意図は御家のためであり、私心は些かもない。七十郎の死罪はやむを得ないとしても、その一族まで極刑にするというのは、あまりに過酷であり無残すぎる。
「あまりに無残だ」と甲斐は呟いた。
すると、持っていた書状の中から、一枚の紙片が落ちた。取りあげてみると、それは七十郎の辞世であった。