輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 頁

青空文庫

――武家にはいつなにごとが起こるかわからない、そういう場合にとり乱したり、みぐるしいふるまいをしないように、女でも小太刀か薙刀の法くらいは身につけておくほうがいい、なにか一つ、武芸を身につけておくと、それだけでも心がしっかりとするものだ。

――けれども、そういう時代はもう過ぎ去ってゆくように思える。

津多女は続けて云った。

――わたしはおまえを、自分のように仕込みたいと思った、おまえにはその素質があるようにみえたのだ、けれどもそれはまちがいだった、宇乃はそのままでいい、たとえどんな変事が起こっても、宇乃はとり乱したりみぐるしいふるまいなどはしないだろう、宇乃は十三歳のとき大きな災厄にあい、一人きりの弟とも別れてこんな遠国に住みながら、少しもめめしいふうをみせたことがない、宇乃はそのままでいい。

そして、あの朝叱ったことは忘れてくれるように、と云った。

おじさまのおかげです、とそのとき宇乃は答えたかった。あの悲しい出来事に耐えられたのも、弟と別れ別れにくらしていられるのも、甲斐という人がいて、心の支えになってくれるからである。もしも自分がしっかりしているとすれば、それは甲斐がいるという、ただ一つのよりどころがあるからにすぎない。