輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁
「味をみてわかったわけか」
「新さん、あたしはまじめに聞いてちょうだいって云った筈よ」
「どう聞こうとおれの勝手だ」と新八は冷笑した、「てめえの情婦ののろけを、まじめな面で聞けるかどうか、考えてみたらわかるだろう、おれにはまだそれほどの洒落っけはないんだから」
「――ごめんなさい」とおみやはまた眼を伏せた、「新さんをそんなふうにしたのはあたしよ、みんなあたしが悪かったんだわ」
「話しを片づけてくれ」新八はそっぽを向いた、「そういう男ができたから、つまりおれに切れろというんだろう」
「あたしのためではなく、あなたのためにそうしたいの、いいえ聞いてちょうだい、あたしまじめに云ってるのよ」とおみやは新八を遮り、指で眼を抑えながら云った、「黒田さんのことものろけなんかじゃないわ、向島のときだって、黒田さんはあたしを近よせもしなかったし、それからあとも同じよ、あの人は女中やお端下にまで騒がれているけれど、いつもきちんと折目を正して、女になんか眼もくれやしないわ」
おみやは話し続けた。
邸内の女たちと同様に、おみやも彼にのぼせあがった。武家屋敷のことで、表てと奥とはきびしく区別されているが、邸内は広いことだし、そうしようと思えば、男と女の会う機会がないわけではない。