輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《玉藻の前(たまものまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,703 字 · 261 頁
折りまわした長い欄干は珠のように光っていた。千枝松はぬき足をして高い階段の下に怖るおそる立った。階段の下には彼のほかに大勢の唐人が控えていた。
「しっ」
人を叱るような声がどこからともなくおごそかに聞こえて、錦の帳は左右に開いてするすると巻き上げられた。正面の高いところには、錦の冠をいただいて黄色い袍を着た男が酒に酔ったような顔をして、珠をちりばめた榻に腰をかけていた。これが唐人の王様であろうと千枝松は推量した。王のそばには紅の錦の裳を長く曳いて、竜宮の乙姫さまかと思われる美しい女が女王のような驕慢な態度でおなじく珠の榻に倚りかかっていた。千枝松は伸び上がってまたおどろいた。その美しい女はやはりあの藻をそのままであった。
「酒はなぜ遅い。肉を持って来ぬか」と王は大きい声で叱るように呶鳴った。
藻に似た女は妖艶なひとみを王の赤い顔にそそいで高く笑いこけた。笑うのも無理はない、王の前には大きい酒の甕が幾つも並んでいて、どの甕にも緑の酒があふれ出しそうに満なみと盛ってあった。珠や玳瑁で作られた大きい盤の上には、魚の鰭や獣の股が山のように積まれてあった。長夜の宴に酔っている王の眼には、酒の池も肉の林ももうはっきりとは見分けがつかないらしかった。