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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 188,242 字 · 380 頁

青空文庫

三白眼は気味悪かったが、両頬に靨が出来たので、その気味悪さは埋め合わされた。

「この子はちょっと変りものだよ」月子には可笑しく思われた。

昔ながらの洞窟であった。

三方四方岩壁であった。その岩壁は鉄色であった。

岩壁には無数に皺があった。その一所に龕があった。刳り抜いて作った龕であった。

そうしてその龕の奥の方で、獣油の灯明が灯っていた。火盞の真鍮は錆びていた。

岩から一筋水が落ちていた。それを湛えた石槽があった。石槽には苔が生えていた。

錦の帳がかかげてあった、その向こうに部屋があった。すなわち造顔手術部屋であった。

二つの部屋の天井は、どっちも大変低かった。

それが人心を憂鬱にした。

だが空気は乾いていた。で、ひどく暮らしよかった。

洞窟の生活には昼夜がなかった。そうして四季の推移さえなかった。いつも薄暗く涼しかった。仕事に疲労れると月子は寝た。寝る前にきっと水を浴びた。石槽の水を浴びるのであった。

その夜も彼女は水を浴びた。

まずクルクルと行衣を脱いだ。

一糸も纏わぬ彼女の裸体は、鴻のように白かった。灯明の火が陰影を付けた。紫立った陰影であった。