輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
すさのおのみこと
素戔嗚尊
線上閱讀芥川 竜之介《素戔嗚尊(すさのおのみこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,917 字 · 86 頁
一
一
高天原の国も春になった。
今は四方の山々を見渡しても、雪の残っている峰は一つもなかった。牛馬の遊んでいる草原は一面に仄かな緑をなすって、その裾を流れて行く天の安河の水の光も、いつか何となく人懐しい暖みを湛えているようであった。ましてその河下にある部落には、もう燕も帰って来れば、女たちが瓶を頭に載せて、水を汲みに行く噴き井の椿も、とうに点々と白い花を濡れ石の上に落していた。――
そう云う長閑な春の日の午後、天の安河の河原には大勢の若者が集まって、余念もなく力競べに耽っていた。
始、彼等は手ん手に弓矢を執って、頭上の大空へ矢を飛ばせた。彼等の弓の林の中からは、勇ましい弦の鳴る音が風のように起ったり止んだりした。そうしてその音の起る度に、矢は無数の蝗のごとく、日の光に羽根を光らせながら、折から空に懸っている霞の中へ飛んで行った。が、その中でも白い隼の羽根の矢ばかりは、必ずほかの矢よりも高く――ほとんど影も見えなくなるほど高く揚った。それは黒と白と市松模様の倭衣を着た、容貌の醜い一人の若者が、太い白檀木の弓を握って、時々切って放す利り矢であった。
その白羽の矢が舞い上る度に、ほかの若者たちは空を仰いで、口々に彼の技倆を褒めそやした。