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すさのおのみこと
素戔嗚尊
線上閱讀芥川 竜之介《素戔嗚尊(すさのおのみこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,917 字 · 86 頁
十五
彼の記憶には二三日前に、思兼尊と話し合った、あの古沼のほとりの柳の花が、たちまち鮮に浮んで来た。もしあの娘が尊の姪なら――彼は眼を足もとの石から挙げると、やはり顔をしかめたなり、
「そうして勾玉をどうするのだ?」と云った。
しかし彼の眼の中には、明かに今まで見えなかった希望の色が動いていた。
十五
若者の答えは無造作であった。
「何、その勾玉をあの娘に渡して、あなたの思召しを伝えるのです。」
素戔嗚はちょいとためらった。この男の弁舌を弄する事は、何となく彼には不快であった。と云って彼自身、彼の心を相手に訴えるだけの勇気もなかった。若者は彼の醜い顔に躊躇の色が動くのを見ると、わざと冷やかに言葉を継いだ。
「御嫌なら仕方はありませんが。」
二人はしばらくの間黙っていた。が、やがて素戔嗚は頸に懸けた勾玉の中から、美しい琅の玉を抜いて、無言のまま若者の手に渡した。それは彼が何よりも、大事にかけて持っている、歿くなった母の遺物であった。
若者はその琅※(「王+干」、第3水準1-87-83)に物欲しそうな眼を落しながら、
「これは立派な勾玉ですね、こんな性の好い琅※(「王+干」