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すさのおのみこと
素戔嗚尊
線上閱讀芥川 竜之介《素戔嗚尊(すさのおのみこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,917 字 · 86 頁
しかしそれが数の上から云うと、ほとんどこの部落の若者たちの三分の二以上の多数であった。この連中は彼の味方が、彼を首領と仰ぐように、思兼尊だの手力雄尊だのと云う年長者に敬意を払っていた。しかしそれらの尊たちは、格別彼に敵意らしい何物も持っていないらしかった。
殊に思兼尊などは、むしろ彼の野蛮な性質に好意を持っているようであった。現にあの草山の喧嘩から、二三日経ったある日の午後、彼が例のごとくたった一人、山の中の古沼へ魚を釣りに行っていると、偶然そこへ思兼尊が、これも独り分け入って来た。そうして隔意なく彼と一しょに、朽木の幹へ腰を下して、思いのほか打融けた世間話などをし始めた。
尊はもう髪も髯も白くなった老人ではあるが、部落第一の学者でもあり、予ねてまた部落第一の詩人と云う名誉も担っていた。その上部落の女たちの中には、尊を非凡な呪物師のように思っているものもないではなかった。これは尊が暇さえあると、山谷の間をさまよい歩いて、薬草などを探して来るからであった。
彼は勿論思兼尊に、反感を抱くべき理由がなかった。だから糸を垂れたまま、喜んで尊の話相手になった。