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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁
橋口大膳という名は、三河国吉良の城主、吉良義広の幕下で勇名の高い武将でないか、……近年、吉良は北条氏と計って、ひそかに徳川氏を攻略しようと企んでいるという噂が高い。
「――そうか!」
金之助はすぐ事情をさとった。
「北条と吉良が軍勢を催したのだ。彼らはいま嵩山城に不意討ちをかけようとしている。そしてお城では何も知っていないのだ」
知らせなければならぬ、――そう思うと共に背に結んでいた包みを解き捨てて身軽になり、藪伝いに吉良の軍勢とは反対の川下へ二町(約二一八米)余り下った。幸運にも堤の下に一軒の農家があって、馬の鼻を鳴らす声が聞こえる。金之助はすばやく廏へ走り寄ると、ことわっている暇も惜しいのでそのまま曳き出し、裸の背へ飛乗りさま、嵩山城へ向かってまっしぐらに走りだした。
案内知った土地である、野も畑もなく駆けに駆けて、半刻(一時間)足らずのうち城下へ行着いた金之助は、そのまま榊原与右衛門の屋敷へ乗りつけ、
「御門番、お起き下さい、一大事です」
と破れんばかり門を叩いた。
「誰だ、何事だ今時分」
「金之助でございます、お城の一大事ですから旦那様をすぐお呼び下さい」