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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《花も刀も(はなもかたなも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 頁
東吾は黙らなかった。
「このまえは、だいぶ勇壮だったそうじゃないか、あとで聞いて吃驚したよ」と、彼は云った。両者の間隔は、もう九尺ばかりにちぢまってい、幹太郎は構わず歩いていった。
「おれがいたら、そうはさせなかったんだ、納屋さんも加減したんだろうがね」と、東吾は云った。
「おれは飲みに出ちゃったんだ、飲みに出なければ逆に肋骨の二三本は叩き折ってやったんだが」
「悪く思わないでくれ」と、村田市之丞が云った。
「このとおり酔っているんだ」
「おれは酔っても腕まで酔いはしないぞ、おい平手」
「よせ川地!」と、納屋が制止した。
幹太郎は(お豊と幸坊を伴れたまま)かれらの脇を通りすぎた。
――ばかな酔いどれだ。
幹太郎はそう思った。
そのとき、うしろで「やい、野良犬」と喚くのが聞えた。その女はなんだ、野良犬、と東吾が喚き続けた。きさまは女衒でも始めたのか、きさまは女で食うほどおちぶれたのか、と喚くのが聞えた。
「なにさ、あのさんぴんは」と、お豊は立停った。
「いいよ、酒乱なんだ」云わせておけ、と幹太郎はお豊に云い『島屋』の店へはいった。
店には誰もいなかった。
いま三人を送りだして、みんな奥へひっこんだところらしい。