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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《貞操問答(ていそうもんどう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,240 字 · 399 頁
六
「この峠の下に、外人の古い別荘が、二、三軒あったでしょう。あすこまで、とにかく降りましょう。そして雨宿りをさせてもらいましょう。サア。」と、促されて、また半町くらい、足早にかけ下った。
一の疾風に、つづいて第二第三の疾風が、空に鳴り林に響いて、樹々の葉が、引く潮に誘われる浜砂のように、サーッと鳴って、一瞬底気味わるい静寂が、天地を領した。と、たちまち眼の前の、ぼーっとした仄暗い空を切り裂いて、青光りのする稲妻が、二条ほどのジグザグを、竪にえがいた。殷々たる――と云うのは都会の雷鳴で――まるで、身体の中で、ひびき渡るような金属的な乾いた雷鳴が、ビリビリと、四辺の空気を震動させた。
六
新子は、天変地異に対する恐怖の念で、半ば意識を失ったような気持で、準之助氏の方へ駈け寄った。
「大丈夫! だいじょうぶ!」と、云う準之助氏の声も、次に、豆のはぜるような音を立てて襲って来た雹雨の音に、かき消された。
二人は、一心に、径を下った。ゴルフ扮装の準之助氏は、何のことはなかったが、新子のフェルトの草履は、ビショぬれになり、白足袋に雨がしみ入る気味のわるさ。もう、落葉松の林径に出ているのであったけれど、雨はますます猛威をたくましくして、落葉松の梢は風に吹き折られそうに、アカシヤは気味わるいほど、葉裏をひるがえして、風に揺ら