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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「今晩は、お菊殺しの下手人の名を仏壇の前で申上げる事になっております。が、その前に、私の話がすんで下手人の名が出るまで、どんな事があっても、どんなとんでもない事を申上げても、どうぞ静かにお聞き下さるようにお願い申上げます」

「…………」

「その代り、私の中上げる下手人の名が違っているとか、そのために、不都合な事が起るとかいう時は、その場でこの首を打ち落して下すっても、決して怨みには思いません」

思い入った平次の調子。仏壇を前に、半円を描いた七人も思わず固睡を呑みました。

「話は少し差障りがありますが、詳しく申上げないと、お解りにならないかも知れません。どうぞ、しばらくお許しを願います」

これだけの枕をおいて、平次は本題に入ったのです。

上総国勝浦一万一千石の領主植村土佐守、遠乗りの帰りお楽の茶店に立寄り、お菊を見初めて、下屋敷へ入れることになり三百両の支度金まで出しましたが、それほどの事が、いくら隠しても、奥方の耳へ入らないはずもありません。

奥方は時の老中酒井左衛門尉の息女、土佐守は一目も二目も置いておりますが、さすがに嫉妬がましく、それはなりませんとはいえません。