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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

いずれは心中ものだろうと思ったが、永代へ行ったか両国へ行ったか、それとも向島へ遠っ走りをしたか見当がつかねえ、――ともかく、近間の両国へ駆け付けて、幸い間に合ったからいいようなものの、これが永代へでも伸された日にゃ、今頃は三途の川で夜桜を眺めているぜ、危ねえ話だ」

そういう平次の言葉を聞いて、

「…………」

二人はゾッと襟をかき合せました。助けられた今になってみると、三途の川の夜桜が、あまり気味のいいものではなかったのです。

「さア行こうぜ、――店じゃ皆さんも大心配だ。わけても増屋の旦那は、三百八十両のことも忘れて徳之助にもしもの事がなけりゃいいが――と居たり起ったり、神棚に灯明をあげたり、見るも気の毒なほどの気の揉みようだ」

「申し訳もございません、――でも、私はこのまま店へ帰っては済まないことがございます」

「はてネ」

月明りのわずかに残る欄干に凭れたまま、徳之助は苦悶に打ちひしがれて、濡れでもしたように、しょんぼりと語り続けました。

十三の年、親を喪った徳之助は、遠縁の増屋に引取られて養子分で、二十一まで働きましたが、増屋の主人三右衛門の慈愛が深まるにつれて、朋輩の嫉妬が激しく、三百八十両の大金を失っても、主人の三右衛門は許してくれるでしょうが、番頭手代は、決して腹の中では、許してくれないだろうと――こう