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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

巫山戯た事を言やがると、彦兵衛だろうが朴念仁だろうが、勘弁しねえぞ」

「解ったよ、東作、手前の腹を立てるのも無理はねえが、――俺の方にも少しばかり言いてえことがある」

「…………」

「娘の命を助けたのは、他じゃねえ、銭形の平次親分だ。三百八十両抜いたのは、描き菊石の東作と話すと――」

「何?」

「まア、待ってくれ。俺は一生懸命平次親分を宥めて、三百八十両は、見事この彦兵衛が貰って来るからと、漸く引取って貰ったのは、ツイ先刻だ」

「それじゃ、手前、銭形の平次に、この俺の事までベラベラと饒舌ってしまったのか」

東作はカンカンに腹を立てながらも、襟元の薄寒さを感じました。銭形平次に睨まれることは、悪党仲間にとっても致命的な恐怖です。

「娘の命を助けたさの行きがかりだ――それは仕方があるものか。三百八十両の金を返してくれさえすれば、平次親分に頼んで、今度のことは眼をつぶって貰う工夫もあるだろう、なア、東作」

「御免蒙ろう」

「何?」

「岡っ引に脅かされて獲物を吐き出したとあっちゃ、この東作の名折れだ。今すぐ長い草鞋をはくまでも、そいつは御免蒙ろうよ」

「どうあってもか、東作」