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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「…………」

平次は時々舌打をしながら、それでも、心せく様子で、グイと引揚げてやりました。

「まア、何て、邪慳なんでしょう」

「邪慳なのは生れ付きさ」

そう言う平次へ、お六は時々物に怯えたように飛付いたりしながら、どうやらこうやら目的地に着きました。

「このところ――親分さん」

お六は囁きながら、山の盆地を指さしました。林に三方を囲まれて、厳重そうな山小屋が一つ、――中には灯も何にも見えません。

「誰も居る様子はないじゃないか」

「久留馬登之助はどこかへ廻ったのでしょう。いずれここへ来るに違いありません。入って待っていましょう」

お六は何の恐れ気もなく、山小屋の中に入りました。続く平次。

「恐ろしく暗いんだな」

「灯をつけるわけに参りません。しばらくここで待って下さい」

「…………」

平次はたかを括った心持で、小屋の中にドッカと坐りました。

「ね、親分さん、首尾よく敵討がすんだら、私を江戸へおつれ下さるでしょうね、――足を洗って、今度こそは堅気になりますが――」

「お六さん、それは誰に言っていることか、お前さん知っているのかい」

「…………」

「この俺が誰だか、知っていなさるのかと訊いているんだよ」