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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

こんな人相の悪い男を二十六年も使っているのは、よくよくの事情があるか、でなければこの男は見かけによらぬ善人で、主人に腹の底から信頼されたせいでしょう。

「お神さんは?」

「あれは二十年にもなるかな、――五六年前に主人が仲人で、縁遠い同士一緒になっただよ」

そんな事をツケツケと言ってのける元助です。

「主人が夜中庭へ出たのを知らなかったのかい」

「俺の寝ているのは家の向う端だ、知るわけはねえ」

「駒三郎は?」

「これも知るめえよ、滅多に家に居ることのない人間だから」

「そいつはどういうわけだ」

「番頭さんは、まだ若いだ、へッへッ」

元助はそう言って口を緘みます。若いと言われる駒三郎さえもう五十の上でしょう。

「主人はちょいちょい夜分に外へ出るのかい」

「それは判らねえ、が、雨戸を開ける音はチョクチョク聞くだ」

「何の用事で外へ出るんだ」

「へッ、そいつは知らねえ」

そう言いながら、元助の怪奇な顔がニタリと笑うのです。

「知らないでは済まないぜ、――お前の心当りだけでも言ってみるがいい」

平次は大事な鍵を見付けると、その微妙な感触を追って、ジワジワと追及しました。

「金でなきゃ女の事だんべいよ」