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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「私には何にもわかりませんが――」

「よし、よし。次はお松さんをここへ呼んでくれ、――それから、石見銀山の鼠取りを隠しておいたのは、この戸棚の上だな」

平次は、ガラッ八の後ろの古い戸棚を指さしました。

「え、その小さいお重の中へ入れておいたのです」

「よし、それでいい」

平次はお越の後ろ姿が廊下に消えると、踏台を戸棚の前に持って行き、硫黄付け木を一枚灯して、念入りに戸棚の上を調べ始めました。戸棚の上には、蓋のない古お重が一つ、その外側には、たった一ヶ所指の跡が付いておりますが、不思議なことに、お重箱の中には一面に埃が付いて、今朝まで物を入れていた跡などはなかったのです。

「八、これを見ておけ、――お重の中は一面の埃だ、――お越がこの中へ石見銀山を隠したと言うのが嘘か、でなきゃ、曲者はずっと前にこの中から取出したのだ」

平次がそう言って踏台から下りると、主人の妹のお松が取り澄まして入って来るのと一緒でした。

「まだ御用があるんですか、親分」

何か平らかでないものがあるのか、お松は突っ立ったままこう先手を打ちました。

「お松さん、お前さんは石見銀山が戸棚の上にあるのを知ってると言ったが、ありゃ、お前さんの眼で見たのか、それとも――」