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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

三浦屋に勤めている頃から、音羽へ引っ込むまでの間に、お小夜と係り合った男も少なくないが、みんな身分の者ばかりで、浪人者などは寄せつけもしませんよ」

「フーム」

「お小夜の気じゃ大名のお部屋様にでもなる心算でいたんでしょう」

「本当に浅川団七郎という浪人の事を聞かないのか」

「聞きませんよ」

「フーム」

「あんまり馬鹿馬鹿しいから、帰りにちょいと音羽の家へ寄って、あのお米とかいう下女に当ってみたが――」

「あれは田螺みたいな女だ。どうしても口を開かねえ」

平次もお米の剛情には驚いている様子です。

「ところが、あっしにはみんな言ってしまいましたよ。半襟一と掛けにも及ばねえ、――浅川なんて浪人は来たこともないというんで。へッ、驚くでしょう、こいつは」

「なんだと」

「浅川という浪人の後ろ姿を見たことがあると言え――と脅かされたんだそうですよ」

「本当か」

「本当にも本当でないも、――今聴いて来たばかりの煙の出るところ、お米坊はあれでなかなか良い娘ですよ。親分、ことによったら」

「馬鹿ッ、それどころじゃないぞ。もういちど行ってみよう。来いッ、八」

平次は三つ股から音羽まで飛びました。