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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

「何だろう、先生」

「石見銀山かな。――お嬢さんの味噌汁にだけ入っていたところをみると、企んだ仕事だよ、親分」

「誰がその味噌汁を拵えたんだ」

と平次。

「お勝手で、皆んなのと一緒にお鎌が拵えますよ。もっともお染さんは気分が悪いから、欲しくないって言うのを、仙之助さんはそりゃ親切だから、自分でお膳まで運んで食べさせましたが――」

お今の説明には、何かしら含んだものがあります。

「仙之助はどこに居るんだ」

「市ヶ谷の親分が縛って行きました」

大番頭の和七はおろおろした顔を出しました。

「たったそれだけの事でか」

「仙之助の行李の中に、石見銀山の使い残りと、少し血の付いた匕首がありました。ヘエ、今聴くと音松さんが、神楽坂の空家で殺されたそうで、本当に怖ろしいことでございます」

和七は心なしか、ブルブル顫えている様子です。

「市ヶ谷の親分が仙之助を縛って行くのも無理はないが、そいつは少し早まったかもしれないよ。使い残りの毒や、血染めの匕首などは行李の中へ入れてしまっておくものじゃねエ」

「左様でございます、親分」

この無能な大番頭からは、平次は何の反応も求められません。