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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

「それをわざわざ捨てて来るのは、大間抜けでなきゃ、恐ろしい智恵者だ」

「…………」

ガラッ八は黙って眼を見張りました。親分平次の推理の発展を、こう見詰めているのは、ガラッ八にとっては、たまらない嬉しさだったのです。

「だから、お内儀のお篠が、自分とあまり年の違わない継子の幾太郎を殺すつもりで、間違って梅吉を殺したとしたら、わざわざ櫛なんかおいて来るはずはあるまい」

「…………」

「昨夜は良い月だったな、八」

「結構な十五夜でしたよ。あっしはそとで『口説き』の文句を稽古したくらいだから」

「つまらねえ物の稽古をしたものだね。あいつは色気がなさすぎるよ。――ところで下女のお仲をちょいと呼んでくれ。ここなら人に聴かれるような事はあるまいから、内緒に一と責め責めてみたい」

「あの女は思いの外口剛ですよ、親分」

ガラッ八は飛んで行くと、少し反抗的なお仲の肘を取って、グイグイ土蔵の裏へつれ込んで来ました。

「お仲、手数をかけるじゃないか。馬鹿な細工をみんな言ってしまっちゃどうだ」

「…………」

高飛車に出る平次を、白い眼で見て、ちょっと良い年増のお仲はツンとするのでした。

「みんな解っているよ。