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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
こんな平凡なことに私は驚く。「たった、それしか経っていなかったのか?」と怪しむ。長命な一個の人の一生にすぎないではないか。▼桑畑のそばで生まれたお婆さんなら、まだ桑畑の見える縁側で糸をつむいでいるだろう。だが、歴史の日本は、と考える。愕然とせざるをえない。▼西遊記の孫悟空ほど、人をがっかりさせるやつはない。一気に十万里を駈けたと誇る。ところが、オイ頭を冷やせよといわれて気がつくと、一菩薩の手のひらの上を駈けていたに過ぎなかったという、あの話だ。どうもいけない、悟空というやつは、人間に似過ぎている。▼もひとつ、いけないのは、人間はことごとくみな、この私に似過ぎている。私も悟空の一人だ。糸をつむぐお婆さんの一生は、ひとごとではない。何か働いて来たような自負を持ってはみるが、じつは手のひらの上か、依然、桑畑の見える縁側にいたのではないか。
清盛、頼朝、義仲、義経と、源平半世紀の象徴の中では、義経がいちばん書くに捉え難い。壇ノ浦までの彼と、後半の彼とでは、意気進退、別人の観がある。▼静も見すててまでの、あの亡命潜行一点張りは、何が目的だったのか、本心なのか。