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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
内海の富は、平家の富源であった時代も今も、他地方にはない有利な条件をもっている確証といってよい。けれど定住者には、一般同様な不平はあっても、べつにここが日本の特別待遇地だなどとは、たれも思っていないだろう。
瀬戸内を、世界の公園にするとか、モナコをどの島にするとか、一しきりの観光熱も、いっこう庶民の話題には、のぼっていない。代りに、売店はよく売れている。ぼくもなんだか買食いがしたくなる。しかし嘉治さんは紳士だし、杉本画伯は賤しからざる風貌だし、Oさんは優等生タイプときているので、中に挟まって、落花生も食べにくい。むなしくカラ茶をのんで船窓に倚っている。
高松産の知人二人が思い出された。菊池寛氏と三木武吉氏である。郷党性というものか、どこか共通点がある。「新・平家」を書き出すと、その武吉さんから馬史の古写本など送ってくれた。神楽坂の松ヶ枝女史と共に、近ごろの消息はとんと聞かない。聞くときは、いつも何か人の意表に出るような事業をきっとやっている。菊池氏とは一度、一しょに来たことがある。郷里は余り好きな所ではなかったらしい。
船を降り、埠頭を出る。嘉治さんの友人で、四国民政部のマックラウド氏が、迎えに来ておられる。