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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

けれど、可能な限り、史料による正確にちかい推理を通った上でないと、私には書けないし、また「新・平家物語」全体の構築に大きな変質をきたすことになるので、目下、山下兵衛尉義経という史上の疑問人物と共に研究中である。そして、そのうえで、私としての弁慶がそのうちに、読者にまみえる日もあるであろう。(二七・二・三)

*

時を、さかのぼって、物語は、もういちど、治承元年の正月へ、もどってゆく。

以後。――日時は、これまでと同じであるが、同じ月日の下に、都では、どんな時潮の兆しと、人間たちの動きがあったか、伊豆から中央へ、視野を移すわけである。

頼朝をめぐる伊豆の一年は、ここに配流となって以来の彼が、十八年の青春を、ほとんど、仏者のように行い澄まして来た門に、ようやく、源氏党の往来やら、文覚との面接の機縁をもたらし、その春風の訪れに始まって、彼と政子との恋愛――そして政子の起こした花嫁失踪事件に、その年は暮れていた。

一方、平家を中心とする同じ“治承元年”というころの都の世態は、どんなであったか。

それを、併せて観なければ、時の全貌を、大地に俯瞰したといえない。