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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《雪国の春(ゆきぐにのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,000 字 · 266 頁
自分はこの「おかみん」の最も有力なる季節に田舎をあるいた。ことに新盆の家においては飛躍するそうである。いずれの村にもはた町にも、おおむね一戸以上のおかみんは住み、電燈があれば電燈の光にも照らされているが、洋服を着た人の目だけはなかなかその所在に達しない。飯野川の町で私の頼んだ老按摩は、儼然たる絽の羽織の、某翁とも名づくべき品格の盲人で、この町にもおかみんはいますかねの問に対し、いるらしうござりますなどととぼけたが、うまく弱点を突かれて無造作に落城した。
昨日月浜まで同船したおかみんは、実にかわいい子供を三人も連れて行った。おかみんは子を連れてあるく者と見えると独語のようにいうと、さようでござりまするか。お世話さまになったことでござりましょう。あれは手前が娘でござりますといってしまったものだ。なアに聟が手前と同職でござりまして、当節は鳴子へ稼ぎにまいっていて、留守がないとってことわったのでござりますが、どうでも来てくれと申すのであアして行きました。雨が降ってどうしたかと案じておりましたなどと、たちまちにしておかみんの家庭の、はなはだしく目に乏しい事実まで教えてくれた。