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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Read 三国志(三) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 312,452 characters · 628 screens
丞相旗
一
遂に、袁紹も意をきめて、一方の出軍説を採ることになった。郭図、審配などの強硬派は、凱歌をあげて退出し、反対した田豊や沮授の輩も、
「このうえは是非もない」と、黙々、議堂から溢れて、やがて出征の命を待った。
許都へ! 中原へ!
十万の大軍は編制された。
審配、逢紀のふたりを総大将に。田豊、荀、許攸を参軍の謀士に。また顔良、文醜の二雄を先鋒の両翼に。
騎馬兵二万、歩兵八万、そのほかおびただしい輜重や機械化兵団まで備わっていた。
河北の地に、空もおおうばかりな兵塵のあがり出した頃、玄徳の使い孫乾は、
「得たり! わが君のご武運はまだつきない」
と、鞭を高く、徐州へさして、急ぎ帰っていた。
ふところには「援助の儀承諾」の旨を直書した袁紹の返簡を持っている。
時に、用いかた如何に依っては、閑人の一書といえども、馬鹿にできない働きをする。高士鄭玄の一便は、かくて、河北の兵十万を、曹操へ向わしめたのであった。
丞相旗
一
その頃、北海(山東省・寿光県)の太守孔融は、将軍に任命されて、都に逗留していたが、河北の大軍が、黎陽まで進出してきたと聞いて、すぐさま相府に馳けつけ、曹操に謁して、こう直言した。