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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Read 三国志(三) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 312,452 characters · 628 screens

Aozora Bunko

三

そして、彼を揚武将軍に任じ、またこの斡旋に功労のあった賈※(「言+栩のつくり」、第3水準1-92-6)を執金吾とした。

襄城の誘降は、外交だけで、かくの如き大成功を見たが、一方、荊州のほうは、完全に失敗していた。

三

荊州の劉表(湖北・湖南を領す。州治は襄陽)は、諸国に割拠する群雄のうちでも、たしかに群を抜いた一方の雄藩であった。

第一には、江岸の肥沃な地にめぐまれていたし、兵馬は強大だし、かつては江東の孫策の父孫堅すら、その領土へ侵入しては、惨敗の果てその身も戦死をとげ、恨み多き哀碑を建てて、いたずらに彼を誇らせたほどな地である。

――で、当然のように。

曹操から派遣された誘降の使者は、劉表の一笑に会って、まるで対手にもされず追い返されてしまったのである。

その経過を聞いて、張繍は、曹操に随身した手初めの働きにと、

「自分から劉表へ書簡をしたためましょう。わたくしと彼とは、多年の交わりですから」

と、申し出た。

彼は、書簡のうちに、天下の趨勢やら、利害やらこまごま書いて、公私の両面から、説破を筆に尽したが、なお念のために、

「たれか、弁舌の士が、これをたずさえて行けば、かならず功を奏すかと思いますが」