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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
」
と咽喉を掠めて笑って、
「はや、足腰もよう利かんで、さし掛傘も杖の中じゃ。意気地はないの、呂律もよう廻らん、大分に嘘をついたからの、ははは。」
中山派の大行者で、若い時は、名だたる美僧であったと聞く。谷々の寺に谺する、題目の太鼓、幾個寺か。皆この老和尚の門弟子だそうである。
「よう御参詣じゃ――紅屋の御新姐……今ほどはまた廚裡へお心づけ過分にござる。ああ、そのお袴の御仁(八郎を云う)、前にある黒い瓶じゃがの。それは東海道横浜にござった、葛原(八郎の母方の姓)の妹娘の骨を入れて、――仲仙道上田にござる姉娘がの、去年供養に見えた一具じゃが、寺で葬るのに墓を穿った時よ。私が立合うて、思うには、祖父祖母、親子姉妹、海山百里二百里と、ちりちりばらばらになったのが、一つ土に溶け合うのに、瀬戸ものの欠が交っては、さぞ疼かろう。飯に砂利を噛んだようにあろう、と思うたじゃでの、棄てるも勿体なし……誰方ぞ参詣の折には、手向の花を挿れても可いと思うて、石塔の前に据置きましたじゃ。さ、さ、回向をなされ。いずれも久しい馴染じゃな。」
と、ほろりとした。聞くものの袖も時雨れつつ。