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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
五
「そういう了簡だから。……チョッ、さあ、御馳走だ。お食べと云ったら、鱈ふく食うんだ、遠慮をしないで、食うものはさっさと食えよ。謡どころか、お互にすき腹がぐうぐう言ってら。」
五
「――伯父、甥が何だ。……姪の婿がどうしたっていうんだ。他人様の大切な娘を……妙齢十七八だって。(お月様いくつ)のほかに、年紀ばかりで唄になるのはその頃の娘なんだ。謡をうたう隙に拝んでるが可い。私なんざ、二十二三の中年増に、お酌を頂いたばかりで……この通り。」
八郎は雪代の酌を受けて、恭しく頂いた――その癖酌を受けたのは今ばかりではない、もういい加減酔っている。実は私も陶然としていた。
「これ、土手で売る馬肉じゃあないが、蹴転の女郎の切売を買ったって、当節では大銭だろう。女房は無銭で貰うんだ――娘に……箪笥、長持から、下駄、傘、枕に熨斗が附いてるんだぜ。きみの許は風呂敷にもしろ、よしんば中が空だって、結びめを蝶々にしたろう。裸体でそいつを引背負ったって、羽の生えた処は、天津風雲の通路じゃないか。勿体なくも、朝暗いうちから廊下敷居を俯向けに這わせて、拭掃除だ。鍋釜の下を焚かせる、水をくませる、味噌漉で豆府を買うのも、丼で剥身を買うのも皆女房の役だ。