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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
十一
だ。
「あれえ、火事。」
「飛べ、獅子。」
と言うとともに、手錬は見えた、八郎の手は扇子を追って、六尺ばかり足が浮いたと思うと、宙で留めた。墓石台に高く立って、端然と胸を正したのである。扇子は炎をからめて、真中が金色の銀杏の葉のように小さく残った。
墓所の暗夜――
「お悦さん……」
「…………」
「……火の羽衣を舞おう。もう一度舞台に立って、人間界に降りた天人を、地獄、餓鬼、畜生、三途まで奈落へ堕して、……といって、自殺をするほどの覚悟も出来ない卑怯ものだから、冥途へ捷径の焼場人足、死人焼になって、胆を鍛えよう。それからだ、その上で……
――(愛鷹山や富士の高嶺かすかになりて、天つ御空の霞に)――
羽衣が三保の浦に靉靆くか、どうかを見るんだ、しかし、お悦さん、……」
「兄さん、口で云う事はほんとうに行らなくっては可厭ですよ。」
「勿論――しかしお悦さん……酒はこぼれやしまいね。」
十一
私というものは、――ここで恥を云うが――(崇拝をしているから、先生と言う。)紅葉先生の作新色懺悔の口絵に、墓参の婦人を、背後の墓に外套の肱をついて凭掛って、熟と視ている人物がある。