Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Read 火の扉 (ひのとびら) by 岸田 国士 (きしだくにお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,467 characters · 257 screens
八
わたし、そんなつもりで言やせんに。ひよつとしたら、あんた、その詩よんどりやせんかと思つて、ためしに言つてみたのよ。もしもそんな詩よまれとつたら、わたし……あゝ、恥ずかしい」
と、彼女は、のけぞるように空をあおぐ。
肥おけを積んだ牛車が道をふさいでいる。だれも人がいないので、しかたがなしに自転車をおりて二人は桑畑のなかを歩いた。
「こんどはわたしが乗せてつてあげるわ」
と、道に出ると、北原ミユキは、手を出しかける。
「だめ、だめ、それこそ命がけだ。さ、もうひといき……。村へはいつたらおろすから……」
「かまやせん、そんなこと……」
だゞをこねるように彼女が言いはなつたのを、市ノ瀬牧人は、つく/″\その顔をのぞきこみ、
「ほんとに、北原先生、きようはどうかおせたな。なるほど、さつきの話は、先生にとつちや重大なこつた。心配おせるのも無理はないが、まだはつきりそうときまつたわけじやなし、そんなにがつかりせんとおきない」
改まつた調子で、そう言つた。
八
「…………」
北原ミユキは、それには返事をせず、黙つて歩きだした。市ノ瀬牧人は、自転車を押して行く。が、とつぜん、彼女は立ち止まつて、