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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Read 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) by 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,254 characters · 226 screens
3
「そう聞いてみると尚更のことじゃ。一献掬まさずにはおかぬぞ。」
対山は無理強いに大きな盃を手に取らせられた。彼は嘗めるようにちょっと唇を浸して、酒を吟味するらしかったが、そのまま一息にぐっと大盃を飲み干してしまった。
「確かに剣菱といただきました。殿のお好みが、手前と同じように剣菱であろうとは全く思いがけないことで……」
彼は酒の見極めがつくと、初めて安心したように盃の数を重ね出した。
3
あるとき、朝早く対山を訪ねて来た人があった。その人は道の通りがかりにふとこの南宗画家の家を見つけたので、平素の不沙汰を詫びかたがた、ちょっと顔を出したに過ぎなかった。
対山は自分の居間で、小型の薬味箪笥のようなものにもたれて、頬杖をついたままつくねんとしていたが、客の顔を見ると、
「久しぶりだな。よく来てくれた。」
と言って、心から喜んで迎えた。そしていつもの剣菱をギヤマンの徳利に入れて、自分で燗をしだした。その徳利はオランダからの渡り物だといって、対山が自慢の道具の一つだった。
酒が暖まると、対山は薬味箪笥の抽斗から、珍らしい肴を一つびとつ取り出して卓子に並べたてた。