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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Read 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) by 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,254 characters · 226 screens
糸瓜と向日葵
私はまた海にもよく往った。多くの場合水島灘の浪は女のように静かだった。私は岸の柔かい砂の上に腰をおろして、眼の前を滑って往く船の数をよんだりした。船はいずれも白鳥の翼のような白い帆を張っていた。そして少年のとりとめのない夢を載せて、次から次へと島々のかげに隠れて往った。
海が遠浅なので、私はよく潮の退いた跡へおり立って、蝦や、しゃこや、がざみや、しおまねぎや、鰈や、いろんな貝などを捕った。私はこれらのものの水のなかの生活に親しむにつれて、山の上の草木や、小鳥などと一緒に、自分の朋輩として彼らに深い愛を感ずるようになった。そしてこの世のなかで、人間ばかりが大切なものでないことを思うようになった。
あの小高い赤土の松山と遠浅の海と。――思えばこの二つは、私の少年時代を哺育した道場であった。
糸瓜と向日葵
八月――日。畑に植えた長糸瓜は、釣上げられた鰻のように、長いからだをだらりと棚からぶら下げている。地べたとすれすれに尖った尻をふっている。一番剽軽で、そして一番長そうな奴を手で押えて、物尺であたってみたら、七尺近くもあった。
糸瓜棚の上に、一、二尺も長い首を持ち上げて、お盆のように大きな花を咲かせていた向日葵は、いつの間にか金の花びらをふるい落して、その跡にざらざらの実を粒立たせているのが見える。