Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

Read 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) by 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,254 characters · 226 screens

Aozora Bunko

3

「は、は、は、は……」

政宗は声高く笑った。彼はその瞬間、金二千両の天目茶碗を失った代りに、自分の心の落着きをしかと取り返すことが出来たように思って、昂然と胸を反らした。

3

泉州小泉の城主片桐貞昌は、茶道石州流の開祖として、船越吉勝、多賀左近と合せて、その頃の三宗匠と称えられた名誉の茶人であった。

貞昌があるとき、海道筋に旅をして宿屋に泊ったことがあった。ちょうど冬のことだったので、宿屋の主人は夜長の心遣いから、溺器を室の片隅に持運んで来た。それは一風変った形をした陶器だったが、物の鑑定にたけた貞昌の眼は、それを見遁さなかった。彼は主人に言いつけて、器を綺麗に洗い濯がせた後、あらためて手にとって見直すことにした。

洗い清められた溺器の肌には、古い陶物の厚ぼったい不器用な味がよく出ていた。愛撫に充ちた貞昌の眼は労わるようにその上を滑った。

「亭主。この器が譲り受けたい。価は何程にしてくれるの。」

暫くしてから、貞昌は主人の方に振り向きざま言葉をかけた。

「お気に召しましたらお持ち帰りを願いますが、旅籠屋が溺器をお譲りして代物をいただきましたとあっては……」