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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Read 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) by 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,254 characters · 226 screens
台所のしめじ茸
1
であったろうかは、誰にも思いやられることだ。その養いは数知れぬ青い葉となって日光に呼吸し、すぐよかな枝となって空に躍り、また鯨の背のような厚ぼったい樹皮となり、髄となりして、今も尚六千年のむかし、土から柔かい双葉を持ち上げた、その頃の生命の新鮮さを失わないでいる。
人間はものの数ではない。神よりも強健で、神よりも生命が長い。――そんなものが一つ、まだ見ぬメキシコの森林に存在することを思うだけでも、私の心は波のように踴躍する。
台所のしめじ茸
1
十月中頃のある日の午後二時過ぎ、水が飲みたくなって台所へおりて往った。天気が好いので、家のものたちは皆外へ出て往った後で、そこらはひっそりとしていた。
窓を洩れる西日が、明るく落ちている板敷に、新らしい歯朶の葉を被せかけた笊がおいてあるのが眼についた。そっとその葉をとりのけてみると、朽葉のかけらを頭に土ぼこりを尻っぺたにこびりつけた菌が、少し前屈みになった内ぶところに、頭の円い小坊主を幾つか抱え込んで、ころころと横になっていた。
「おう。しめじ茸か。しばらくだったな。」
私は久方ぶりに友達に逢ったようにこう思って、その一つを取り上げてみた。