Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,179 characters · 280 screens

Aozora Bunko

「高力家の物々しい様子が変だと思ったら、こんどのお国入りが大変なんだ」

「ヘエ――」

「この春参府の時、一と手柄を立てて、公儀の不評判を取繕うつもりで、左近太夫様は萩と広島に上陸して、毛利と浅野の居城の縄張から防備の様子を見、毛利と浅野の家中に騒がれたことはお前も知ってる通りだ」

「ヘエ――」

「そんな事は手柄にも功名にもならないが、毛利と浅野にはうんと憎まれた。今度の御帰国も、防州芸州は無事では通られない」

「なるほどね」

「ところで高力左近太夫様は今年二十七、細面で髯の跡青々とした、ちょっと良い男だ」

「ヘエ――」

「志賀内匠というお武家は、殿様によく似ていると――外ならぬ母親が言ったのを手前覚えているだろうな」

「ヘエ――」

「謎は解けたろう。志賀内匠はなぜ行方知れずになったか」

「ヘエ――」

「まだ判らないのかい」

「ヘエ――」

「呆れた野郎だ。それで十手捕縄をお預かりしちゃ済むめえ」

「ヘエ」

「高力左近太夫様が、高力左近太夫様で道中をしては、毛利と浅野の家来につけ狙われて危ないが、参覲交代の大名が、逃げも隠れもするわけに行かねえ」

「なるほどね」

「そこで、殿様に似ている志賀内匠をおびき出し、脅かしたか、宥めたか、とにかく殿様の身代りになって本街道を島原へ練らせ、真物の左近太夫様は、お忍びで、蔵宿の船か何かで、そっと帰ろうという