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おばけのしょうたい
おばけの正体
井上 円了
Read おばけの正体 (おばけのしょうたい) by 井上 円了 (いのうええんりょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 74,925 characters · 145 screens
第八六項 怪獣の退治
最寄りの青年ら、なにごとぞと手に手に得物を押っ取りて馳せ集まり、くだんの怪物を打ち倒し、草刈り鎌にて目をえぐられしかば、さすがの妖怪も力弱りてその場に倒れしゆえ、よくよくあらため見しに、年経し黒色の老鼬なりしに、人々アッと驚きしとぞ。
世間の妖怪中にて、真の怪物とすべきはこのくらいのものであろう。その他は多く偽怪か誤怪である。
第八六項 怪獣の退治
古寺に老いたる貂が住んで人を驚かせし例は、先年の『新潟東北日報』の雑報にても読んだことがある。
越後三島郡出雲崎なる不動山西方院とて、いと古代じみたる木彫地蔵尊を本尊となす、真言宗の古伽藍あり。檐傾き壁くずるというほどならねど、位置が位置とて古木森々として昼さえ人足まれなれば、夜は一層もの寂しさ言わん方なきに、このほどよりその堂の後方にて、夜な夜な異様のなき声すとて大評判となり、住職渡辺某はじめ、必定世にいう化け物とやらんいう怪物ならんと、宵より衾を打ちかぶりて臥すほどなりしが、ツイ四、五日前の夜のことなりとか、たまたま近所の若者十四、五名、一杯機嫌のおもしろ半分、今夜こそは西方院の化け物を退治しやらんと、手に手に斧、鉞、棍棒などを取りつつ、台所なる炉に榾柮折りくべて団欒し、イザござんなれと待ち構うるとは知るや知らずや、夜も深々と更けわたる真夜中ごろ、果たして