Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おばけのしょうたい
おばけの正体
井上 円了
Read おばけの正体 (おばけのしょうたい) by 井上 円了 (いのうええんりょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 74,925 characters · 145 screens
第七項 幽霊の足跡
二人にて、連れの女が酒に酔い過ぎて歩行もできぬ始末に、男が介抱しておったのだ。二人とも、ツイ近所で見かける顔です」と告げ、大笑いにて済みたりと。
いかに恐ろしき幽霊も、正体が分かれば笑い草となる。
第七項 幽霊の足跡
去るころ、奈良県の某新聞にも、「妖怪変化」と題して幽霊談が掲げてあった。その場所は同県磯城郡桜井町、某寺の境内である。この寺の墓地に毎夜十一過ぎになると、ハイカラ的丸髷の亡者が徘徊するとの噂が町内に広がり、物好きの男が第一番に正体を見あらわしてやらんと、しようもないところに力瘤を入れ、一夜、堂の裏に身をひそめて様子をうかがっていたそうだ。初秋の夜も沈々と更けた十二時すぎになると、アーラ不思議や、忽然として一人の女に化けた妖怪が現れ、累々と並んでいる石碑の間を歩いて行くのを見届けたから、翌朝再びその場へ行ってみると、大正の化け物は違ったもので、足跡が点々と墓の間に残っている。そこで、その足跡は狐狸か幽霊かと思ってだんだん取り調べたところが、その近辺に一人の好男子が住んでいる。そこへほかより毎夜、これを慕っている婦人が通ってくるのであったそうだ。