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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Read 三国志(三) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 312,452 characters · 628 screens

Aozora Bunko

……何とぞ臣らの使命のため、一軍の兵をお出しあって、通路の囲みを突破していただきたく存じますが」

「よろしい、さもなくては淮南へ出ることはかなうまい」

呂布は、直ちに張遼、萌の二大将をよび、各※(二の字点、1-2-22)へ五百余騎をさずけて、

「両名を淮南の境まで送るように」と、いいつけた。

「畏まって候」とばかり、張遼の五百余騎は前に立ち、※(「赤+おおざと」、第3水準1-92-70)萌はうしろに備えて、飛龍の勢目を形づくり、城門をひらいて突出した。

敵中横断の挙は、もちろん深夜を選ばれて決行されたものである。まんまと曹操の包囲戦線も越え、次の夜、玄徳の陣をも駆け通りに突破してしまった。

「上々首尾!」

両使は、淮南の境を出ると、喊呼した。

「でも、まだ、帰りの危険もあるから」

と、萌の五百騎だけは、使者について、淮南まで随行した。

張遼は、手勢の五百騎だけを従えて、もとの道へ引っ返したが、こんどは玄徳陣の警戒線に引っかかって、

「どこへ参る」と、一隊の兵馬に道をさえぎられた。

張遼がふと敵の将を見ると、それはかつて小沛の城を攻めた時、城頭から自分に向って正義の意見を呈してくれた関羽であった。