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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
」
売手は希有な顔をした。が、言戦い無用なりと商売に勉強で、すぐ古新聞に、ごとごとと包んで出した。……この中に、だらしのない別嬪が居るのだそうである。
姿が好いからといって、糸より鯛。――東京の(若衆)に当る、土地では(小桜)……と云うらしいが浅葱桜で、萌黄に薄藍を流した鰤の若旦那。こう面白ずくに嵩にかかると、娘の目に友染切で、見るものが欲しくなる。
私も自分で値をつけて、大蟹に湯気を搦めて提げた。
占地茸を一籠、吸口の柚まで調えて……この轆轤を窄めた状の市の中を出ると、たちまち仰向けに傘を投げたように四辻が拡がって、往来の人々は骨の数ほど八方へ雨とともに流れ出す。目貫の町の電車の停留場がある。
――ここは八郎と連立って、昨夜一度来て見覚えがあった、それは紅屋を訪ねたので。――訪ねてさて帰りには、お悦がちょうどこの辻まで送って来て、勝手働きのままだったから、玄関も廊下も晴がましい旅籠まで送り返すのを猶予って、ただ一夜――今日また直ぐ逢う――それさえ名残惜そうに、元気な婦に似ず、半纏の袖を、懐手で刎ねながら、姿は寂しく見送ったのであったが。――察しられる。