Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
「何を食べてる。」
「篠鰈よ。」
「ああ、」
と覗いて、
「東京の柳鰈か――すらりと細い……食ってるものも華奢だなあ。少しおくれ、ってだよ。」
「可厭な、先生。」
「何が先生だい、さあ、※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)って。」
小指の反った白魚の目は、紅い指環にうつして、消えそうな身を三口ばかり、歯に触りそうにもないのを、あんぐとうけて、むしゃむしゃと噛んだと思うと――どたりとそのすんなりした背に崩込んで、空色地に雪間の花を染模様の帯のお太鼓と、梅が香も床しい細りした襟脚の中へ、やたらに顔を押込んで、ぐたりとなった。
「襟脚の処が三寸ばかり、お前さんに似て美しい。」
と耳許に囁いたと思えば、背中へ倒れ込んで――その時、八郎は泣いたのだそうである。
私は小さな料亭の小座敷で、翌夜、雪代夫人から、対坐で聞いた。
チーン。
すすり泣く声がすると、鈴が鳴った。……お久という人の、めんてんの足袋で帰るのを、立合わせた台所から、お悦が送り出すと、尖った銀杏返を、そそげさして、肩掛もなしに、冷い頸をうつむけて、雨上りの夜道を――凍るか……かたかたかたかたと帰って行く。