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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Read 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 47,251 characters · 94 screens
」
「難有い、うむそこで、分別も燗もつきそうだが、墓の前で、これは火燗だ。徳利を灰に突込むのさえ、三昧燗というものを、骨瓶の酒は何だろう、まだちっとも通らないが、ああ、旨い。」
「少し強く焚くと、灰が立って入るもの。」
「婦だなあ、お悦さんも。この場合に、灰が飛込むなんぞどうするものか。しかしお志は頂戴する、婦は優しいな。」
扇子を開いて蓋をした。紺青にきらきらと金が散る、苔に火影の舞扇、……極彩色の幻は、あの、花瓶よりも美しい。
内証の焚火は、骨瓶の下伏せに、左右へ這った、が、硫黄も燃したのであろう。青く潜って、ちらちらと婦の褄をなぶり、赤く立って男の黒小袖の膝を弄んだ。
「ふーッ、いい酒だ。これで暮すも一生だ。車力は出来ず、屑は買えず、――姉さん、死人焼の人足の口はあるまいか、死骸を焼く。」
「ありますよ。」
「…………?」
「市営なんのって贅沢なのは間に合わないけれどね、村へ行くと谷内谷内という処の尼寺の尼さんが懇意ですがね。その谷戸の野三昧なら今からでも。――小屋に爺さんが一人だから。兄さんが火箸を突込めば私が火吹竹を吹く。……二人で吹きおこしたって構わない。