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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
Read 探偵小説の「謎」 (たんていしょうせつのなぞ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,820 characters · 235 screens
12 暗号記法の種類
自己の能力を過信し、その犯罪能力がどこまで実現されるものかを実験してみるという心もちが働いている。犯罪を試験管に入れて種々の化学反応をこころみるのである。古来心理小説といわれるものの多くは人生を試験管に入れてきた。ドストエフスキーもそうだし、スタンダールもそうだし、そしてポール・ブールジェの「弟子」にいたってはその最も具体的典型的なものの一つである。この小説の主人公は恋愛を文字通り試験管に入れ、そこから一つの殺人被疑事件が発生する。ブールジェのこの作はドストエフスキー、ストリンドベリなどとともに強く探偵小説家の注意をひいている。探偵作家もまた、その犯人をして彼らの犯罪を実験せしめ、さらに犯人を、犯罪を、殺人を、試験管に投入しようとしているからである。
(「文化人の科学」昭和二十二年三月号)
12 暗号記法の種類
私は学生時代に暗号記法の分類というものを作ったことがあり、それを大正十四年の「探偵趣味」にのせ、昭和六年の随筆集「悪人志願」にも入れておいたが、それを少し補訂して左に掲げる。
戦争のおかげで、暗号記法が非常に進歩し、自動計算機械で複雑な組合せを作るようになったが、こうして機械化してしまうと、以前、暗号というものに面白味を与えていた機智の要素が全くなくなってくるので、小説の材料には適しなくなった。