Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

Read 探偵小説の「謎」 (たんていしょうせつのなぞ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,820 characters · 235 screens

Aozora Bunko

氷の弾丸

この場合、氷の代りに雪を用いた作家もある。雪のかたまりを、閂の支点に近いドアの板へ叩きつけて、落ちないようにしておいて、外に出てドアをしめる。雪がとけるにつれて閂がかかること、氷と同様である。

氷の弾丸

氷を弾丸の形にけずって、銃器に装填し、手早く発射する方法がある。鋭い氷片は被害者の体内に入り、弾痕を残すが解剖しても弾丸は発見されない。体内でとけてしまうからだ。幽霊弾丸の怪奇である。これを一層もっともらしくするために、人間の血を弾丸型に凍結させて発射することを考えた作家がある。その血液弾がとければ、被害者の血にまじって、いっそうわかりにくくなるというのである(むろん血液型の同じ血の方が安全であろう)。また、他の作家は、氷ではよほど手早くやらぬと、発射する前に溶ける心配があるので、岩塩を弾丸型にけずって用いることを考えた。体内で塩が溶けて塩分が残るけれども、もともと人体には多量の塩分を含んでいるのだから、区別はできないだろうというのである。

この氷弾の着想は必ずしも近代の探偵作家の発明ではない。ジョン・ディクスン・カーのしるすところによると、古くイタリーのメディチ家に、氷片を弓で射て人を殺した伝説があり、さらにさかのぼると紀元一世紀のローマの詩人マルティアリスのエピグラムに、これと似た方法が歌われていると