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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
Read 探偵小説の「謎」 (たんていしょうせつのなぞ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,820 characters · 235 screens
また名刺一面に墨をぬって、黒い盆の裏にはりつけて隠すというような手も考え出した。この遊びで、けっこう一日の退屈をまぬがれたものである。
探偵小説にはこの「隠し」の興味がしばしば取り入れられる。犯人が隠して、探偵が探すのである。その最もすぐれた例は、ポーの「盗まれた手紙」であろう。心理の逆をついて、隠すかわりに、わざと目の前に放り出しておくという手である。チェスタートンはこの手を人間の隠し方に応用し「見えぬ人」を書いた。郵便配達夫の職業が盲点となって、すぐ前にいてもわからないのである。それをまたクイーンが長編の「Xの悲劇」に応用した。車掌や渡し船の切符切りが、隠れ蓑となる。いつも目の前にいるのに、まるで気がつかないのである。
トリックといえば、すべて何事かを隠すためのトリックに相違ないが、ここでは物品を隠す場合と、人間を隠す場合の、古来用いられたトリックを、幾つか思い出してみたいと思う。隠す品物では、宝石、黄金、書類などが最も多いが、かつて私がメモをとった「トリック表」を見ると、まず宝石類の隠し場所としては犯人が自分のからだの傷の中へおしこむ、鵞鳥に呑ませる、犯人自身が飲みこんでしまうなどが極端なもので、普通の隠し場所としては石鹸の中、クリームびんのクリームの中、チューインガムに包む、ネックレスをクリスマス