Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Read 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) by 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 346,393 characters · 692 screens
学校から衆が帰って来ると、弄花の仲間も殖えて来た。二男の糺も連中に加わって、出の勝つ母親のだらしのない引き方を尻目にかけながら、こわらしい顔をしていた。
夕方になると、主婦は乗りのわるい肌の顔に白粉などを塗って、薄い鬢を大きく取り、油をてらてらつけて、金の前歯を光らせながら、帳場に坐り込んでいた。
「お神さんがまた白粉を塗っているのよ。」と、女中は蔭でくすくす笑った。
「××さんがこのごろほかに女が出来たもんだから、焼けてしようがないのよ。」
女中は廊下の手摺りに凭れながらお庄に言って聞かせた。
この書生は、外へ出ない時はよく帳場の方へ入り込んでいた。主婦と一緒に寄席へ行くこともあった。帰りにはそこらの小料理屋で一緒に酒を飲んで、出て行った時と同じに、別々に帰って来た。その書生は二十八、九の、色の白い、目の細い、口の利き方の優しい男であった。
主婦がその部屋へ入り込んでいるのを、お庄は幾度も見た。
「ちょいとちょいと、面白いものを見せてあげよう。」剽軽な女中はバタバタと段梯子から駈け降りて来ると、奥の明るみへ出て仕事をしているお庄を手招ぎした。
女中は二階へあがって行くと、足を浮かして尽頭の部屋の前まで行って、立ち停ると、袂で顔を抑えてくすくす笑っていた。